「フリージア9巻を読んで」

 タイトルはいつかの夏休みの読書感想文の例題へのオマージュ。
フリージアで感想文書けばよかったなあ、なんていや本気で思ってはないにしてもネタとしてはインパクト大きいなとちょっと思ったこの頃というのはさっきのこと。
 さてフリージアの説明をしましょう。
まずこないだ映画化されました。そしてたぶん失敗でした。そういう漫画なので一部では映画化されるぐらいの人気はあるのですがあまりメジャーではなく、俺の友達でフリージアをもともと知ってた人がいなかったくらいの漫画だ。
 この漫画の主人公は叶ヒロシという男。その男の幻覚からこの物語は始まる。そしてヒロシが「敵打ち執行代理人」という仕事に抜擢されたことから物語が動き出すのです。
 が、その「敵打ち執行代理人」というのがどういう仕事なのか、気になる人もいるかもしれません。
しかし俺は、この物語にとっては枝葉なんじゃないかと思う。問題はそれが仕事という概念であるということとドンぱちやる危なくて普通に人が死んだり殺したりする仕事だってことなんだと思います。敵打ちが正しいかとか被害者の無念がどうとかはこの物語ではすべて単なる背景と化してしまってるから。
 舞台上に上がるのは登場人物たちの精神のみでほかは背景になってしまう。これは登場人物たちが外の世界への働きかけを積極的にしないやつばっかということでもあり、作中に共通するある種のアイロニックな雰囲気のせいでもあるんだけど、それはともかく。
仕事の説明は割愛。
まあその仕事でいろんな事情の人とお互い拳銃で殺しあったり一方的に殺したりを合法的にできるってことがすべてなのね。んでその仕事でヒロシが持前の電波とちょっと変わった擬態と呼ばれる(というか9巻の実質主人公溝口が勝手に呼んでる)能力を生かして大活躍すると、そういう話。


さて9巻は溝口の暴走の話。溝口が精神的に追い詰められていくところとかはむしろ淡々とした印象を受けた。麻痺しちゃってるのかもしれないが、どっちかというとネコのおばさんの話のが好きだ。完全にかついろんな意味で備品扱いだった溝口妻の死がターニングポイントになってるのに何となく違和感がある。だめってわけじゃないんだけどなんてかインパクトが足りない気がするのね、まあ死んだあとじわじわくるっていうのが今回の巻の流れではあった。結局奥さん大活躍してるんでまあ振り返ってみれば納得できる話だった。
まあ溝口君については今回はかなりかあいそうでかつ間抜けで可愛かった。
あとはまたどうでもい捨てキャラにどうでもよくないのにいきなり出てくる別珍と曼陀羅の片っぽみたいな女子校生とか戦闘場面とかザッピングとかとてもよろしかった。
ただ最後の溝口夫妻の見せ場「愛だけなんだ・・・」のとこは雑誌で読んで印象強かったんだが、思ったより迫力ないなと思った。それより結末があまりにもシューール。

さて一方の叶さんちの話はさっぱり進みませんでした、ケイコと隣の暴漢はどういうことになってたのかはよくわからず、次巻に入るんじゃないかと。おれはケイコが殺してて、そこら辺に死体が転がってるか誰かみたいに運送会社の人に持ってってもらったかだと思うがわかんねえや。それかプレハブの中に死体がはいってたりして・・・。

巻としては際出て面白いということもなかったけど、話が動いてる感がすごいあるのでこっから面白くなりそうな気がする。
結局結論は「溝口かわいそう」な巻だったということですが。


フリージア 第9集 (IKKI COMICS)

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