はてな村が滅んだただひとつの理由
このコメントに対して俺は
Phenomenon まとめると飯が食えないからだな。
コメントしたんだが、もうちょっと書いてみたくなった。結論はやっぱりコメントのとおりなんだけど、それだと一言で話が終わってしまう。もうちょっと丁寧に論を重ねてみよう。
言及先のブログ記事とか、その他のシロクマさんの書簡とかもそうで、はてな村がなんか10年村位前から衰退しているよねという現象に言及しているんだけど、じゃあなんでその現象が起こったのか、衰退しなかったコミュニティ、勃興したコミュニティとの違いは何だったのかというところまではあまり考察できていないように感じる。
せいぜい、ネットの大衆化の流れのせいだよね…みたいなふわっとした感じでしかない。
それに対してもうちょっと真面目に考えようぜっていう踏み込みがamamakoさんの記事ではあったんだけど、これを読んで俺は思った。見事に語るに落ちていると。だって人文系サブカル少年が、「論座」や「ユリイカ」にあこがれて、はてなで自分も認められるかもって、はてなに入ってきたらさ、その人がもし才能を開花させて成功したら「論座」や「ユリイカ」に行くでしょう。それって結局踏み台的な感じになっちゃうから持続可能性がないよね。
それでね、持続可能性って話になると、必ず考えないといけないのは、「それってお金が儲かるか」「それでご飯食べられるのか?」ということなんだよ。これが一番はてな村が向き合ってこなかったことだとも思う。
はてな村にいて成功した人、「シロクマさん」「あじこさん」「ふろむださん」。はてなで飯食っている人ひとりもいない。
シロクマさんは自著を出してるけど、それって出版業界だし、あじこさんははてな村奇譚を「文学フリマ」売ってたし(買いました。面白かったです。)、これは同人界隈だよね。はてなで一番才能ありそうな「ふろむださん」はまだブログあるけど、あんま更新してなくてtwitterの方で活躍されてるよね。本も出してる。
一方で今でも活発なユーチューバーの界隈はどうだろうか。
日本人のトップのヒカキンはちゃんとユーチューバーで食べていて、いまでも活発に動画をユーチューブに上げている。ヒカキンは「テレビに出れるようになりたいから似たようなことがやりたくてユーチューブをやっている」人ではないから成功してもいなくならない。仕事としてやっていけるから抜ける必要もない。ヒカキンを見た子どもたちはユーチューバーになりたいと思うから裾野がどんどん広がってコミュニティーは盛り上がっていく。
これこそ持続可能性のあるコミュニティじゃないだろうか。
比較すると違いは明らかだよね。
- ユーチューバーは成功したらそこで食べていける。コミュニティーでの成功が経済的成功とも結びついている、といういい方もできる。はてな村で成功してもそれだけでは食べていけない。
- ユーチューバーは「ユーチューバー」になりたい人たちが入ってくる。はてな村は「ユリイカ」とか「論座」とか単著とか何でもいいけどはてな村以外に行きたい人が入ってくる。
あと他にも比較するとしたら自分の知っているところでは同人界隈とかも持続可能性は高い。竜騎士07はひぐらしで成功したあともコミケに出続けていたし、TYPEMOONもいまだに出展している(企業参加だけどさ)。
もちろん、「自分の育ったコミュニティーへの思い入れがあるから」みたいなバックストーリーを信じてもいい。信じてもいいんだけど、それが一時的な慈善事業ではなく続けられるのはペイできるからというのは大きい。
やったことあるから知ってるけど、同人界隈はほとんど儲からない。9割は赤字だと思う。それでも衰退しないのは、トップ層は儲かっていて、そして儲かっているから出ていかないから。そういうトップ層はスターで、人を引きつける誘蛾灯だから。
俺はふろむださんとかも綺羅星のような才能だと思うのだけど、なぜこうはなれなかったのか。答えは単純だ、儲からないから。
はてなブログが衰退して、noteの方が盛り上がっているのもそういうわけだ。はてなブログでは食っていけないが、noteが売れば結構な収入が見込める。はてなブログにはペイメントゲートウェイはない。あるのはアフィリエイトだけだ。
いまさら思うのは、はてなのアフィリエイトで儲けようとして批判されてた互助会の人たちが一番地に足がついていてはてなに根を生やそうとしていたのではないか。ということだけどそんなこと考えてももう遅いのである。
結局地面にしっかり根をはやして、ユーザが飯が食えるサービスじゃないと滅びるのは当然の定めのように思える。UGCで盛り上がったニコニコの近年の衰退も似たような話なんだろう。こちらについては詳しくないけど。あとはPixivとFantiaとかね。
まあただ、フリーミアムでやってきたWeb1-1.5あたりのサービスにとってはUGCで課金機能を作るというのは結構ハードルが高い話なのかもしれない。角川とか集英社にシステムを提供して売上を上げていく株式会社はてなのやり方はまあまあうまくやっているといっても良さそうな気がする。