進化の結果と原因の混同

遺伝子が利己的な働きをしているように見えるのは確かだけれど、それが遺伝子の意志とかいう風に遺伝子を擬人化したような結論につながったり、それ以外の何かの意志とかいう結論につなげるのは(楽しいけどw)無理っていうか根拠のないとこまで結論を飛ばしすぎてると思う。(後者は可能性としては否定できないか知らない)
そもそも意志って何?っていう話をしなくても、有機物の細かい素子とか遺伝子の塩基一つ一つそれ自体には意志はないって事は誰でも同意できるだろうから(意志があるとすればそれを構成するものにあるから)それを組み合わせて構成するメカニズムを考えればいいわけです。
さて
生命が生まれてからものすごい時間が流れているわけですが、それと、チャールズダーウィンさんの考えた淘汰を組み合わせたら、生命本能も、一見意味不明に見えて種の保存に役立っている動物の行動も、環境に合わせて特定の遺伝子のスイッチが入って進化することも、全部説明できるんじゃないかと思うわけですよ。(生命の起源以外だけど)

結論から言えば全ての理由は“生き残っていること”です。

まず最初に「種を残そう」「生き残ろう」という“生命の”意志。これが生命の前提条件だと思ってはいけません。遺伝子の異常ですぐ死んでしまう赤ん坊がいますがこれだって進化の脇道の一つなわけだから<すぐ死んでしまう>という結果の原因が生命自体にインプットされているという場合も極端ですが考えられるということになります。
ではなぜ生き残る意志をもった生命ばかりが今いるのか。
それは生き残る意志を持った生命しか残っていないからです。(ていうか当たり前ですが。)
おそらくは生命の生まれた時には10秒で死ぬ生命とか30秒で死ぬやつとか10分で死ぬやつとかがいっぱいいたはずなんですが、やたら変異して分裂するせいで偶然生き残るやつも千に一つぐらいいたわけです、そういう風にして生き残れるやつだけ生き残るという状況を繰り返した結果生き残るという意志を持つやつが残るというのは簡単な話です。
要するに、<生き残るという本能があったから種が受け継がれてきたのではなくて、生き残るという本能が偶然あった種しか受け継がれてない>ってことです。

遺伝子の存在についてもこれが当てはまります。親の複雑な形態を記憶する装置としての遺伝子があると死ににくいわけですから、
<生命が生き残るために遺伝子があるのではなくて遺伝子のあるやつだけ生き残った>
ってことが言えます。
遺伝子が環境に合わせて変異し進化することも同じです。遺伝子の形態も絶対ではないのですから。
生物が遺伝子を残すために行動しているように見えることもまた。


<生き残るためにそのメカニズムがあるのではなく、それがあったから生き残った>
と、いえるわけです。



生命が生まれてから想像も出来ないほどの時間がたっていることを思えば、いままだ残っている生命に実に合理的な生き残るシステムが出来ていることも納得できます。

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テレビの動物番組で
「〇〇〇(という動物は)生き残るために〇〇を発達させました」とか
「〇〇〇は天敵に見つからないようにこんな形をしています」
とかいいだしたら
「〇〇〇は〇〇を発達させて生き残りました」
「こんな形をしている〇〇〇だけ天敵に見つからず生き残りました」
という風に脳内で変換した方が正しいでしょう。

人に言うと理屈っぽいとやつとか思われてうざがられるかも知れませんが。

終わり


補足