最近よく聞く話。マスコミとファシズムとインターネット

実際、テレビとか新聞が偏った報道をしていてもそれ自体はそんなに怖いことではない。
怖いのはテレビや新聞で報道されていることを大体鵜呑みにしてしまう人が大勢いることだ。偏った報道に怒って朝日とかを叩いている人たちも、全面的にいいとはいえない。怒っているのは報道機関を信じていることの裏返しだからだ。
これから五年ほどかけて報道機関がまとまって慎重に反中国色を強めていけば日本は対中強硬派ばかりになるだろう。その逆も簡単に。
そしてそれに反対すれば、私が小学生の頃教科書に間違いがあるといって笑殺されたのと同じことが起こるだろう。
それはポピュリズムというマスコミによるファシズムというようなものじゃないか。

完全にマスコミがファシズムみたいに国民を誘導するようになるには、まずまとまらなくちゃならない。あとはマスコミ側がそのつもりにならなければ無理だろう。
そんなことにはならないのでマスコミ自体のファシズムなんていうものはあり得ない。
ただし統制されないマスコミがまとまる場合も一つ考えられないこともない。言い方が悪いが、マスコミの頭が空っぽで利益追求しか考えられないというのならまとまった形になる。
これは後先考えない暴走だから性質が悪い。

しかしながら頭空っぽなおかげか報道機関の信用は(少なくともインターネット上では)今は落ちているわけで、報道機関なんて信頼されてない方がいいと思う私としては悪いことじゃないと思う。
しかしやはりマスコミに完全に依存している人というのは存在している。そういう人たちは本当に自分でそれを選択できたのだろうか。

4

テレビには弊害がある。テレビは映像と音という二つの情報媒体を使用しているわけだが、それはこれまでの人工的な情報伝達手段と比べてあまりにも情報量が増えすぎてしまった。
テレビを見ている私たちにはほぼ何も想像する余地がない。本や新聞であれば映像や音を、ラジオであれば映像を、人は想像する事が出来る。テレビならせいぜい臭いや気温くらいしかない。
結果テレビは私たちから想像する機会を奪い。やがては想像力さえも減退させる。
自分で想像する力を失った人は想像力の必要ないテレビに依存するしかない。

というような話がテレビ普及の初期には言われていたに違いないと思うと、テレビがインターネットを批判する今の構図は虐待を受けた子どもが大人になって自分の子どもを虐待する様を見るようである。

誰かも言ったようにインターネットはカオスである。それは手の加わっていない情報の本来の姿だともいえる。
テレビの弊害に個人差があるとしても、想像力の要らないテレビになれた人がインターネットに触れるとどうなるのか興味がある。多くは当然忌避するだろうが何かのきっかけで必要に迫られたら、という疑問だ。
テレビが膨大な手間をかけて食べやすくした離乳食のようなものだとすると、インターネットは全く加工のされていない生のままの食材だといえる。つまり本、新聞、ラジヲという風に情報媒体が変わってきてそれによって食べやすくつまり分りやすくなってきたところでいきなり有象無象の塊であるインターネットというものが現れたのだ。
皆食べ方を忘れたのだから判断を誤って混乱するのはしかたがないだろう。

インターネット以前にこの状況に直面しなければならない人がいる。生のままの情報に直接触れてそこから価値のある情報を選び出さなければならない大勢の記者たちである。
彼らもまた普通の人と同じように多くがテレビを見て育った。彼らが必要に迫られてその状況に陥ったとき、正しい判断を期待できるとは思えないし、出来ているとも思えない。そもそもその能力がないのだから仕方がない。
個人差と社内教育を計算に入れても底力が下がれば質が落ちる。一度失った想像力を取り戻すのに何年かかるのか。
私は同等な例としてインターネットと比較して、一世代かかるのではないかと予想する。

脱線したが、マスコミがファシズムになりえるかという話だった。
つまるところこれは、記者が有象無象の情報に思考停止か正しく判断出来ないことになるのならば、「言い方が悪いが、マスコミの頭が空っぽ」で全体が統一されるという状況になり、それを受ける人々も同じくなのであるから、ファシズムが形成されるという懸念である。
思考経路としてはテレビを見て育った人がインターネットで正しい判断をするのが難しいのだとすれば、生の情報から判断する必要がある記者達も当然・・・というものだ。テレビに弊害があるかについては実証が難しいかもしれない。しかしマスコミにおいてインターネットが非難されるのを見るに付け、その懸念は強まるものだと思われる。

追記

これはあくまでウラで糸を引いているモノがいないという前提の話であり、そんなものは根拠のない前提だと思います。
だとしたらそれ以前の問題です。