搾取
アフリカでダイヤモンドをせっせと掘っているおじさんたちは何のために働いているのかといえば、自分がタロイモとかを食べるために決まってます。でもそのおじさんがタロイモを掘らないでダイヤモンドを掘ってるのはダイヤモンドが欲しい人がいるからで。それは多分おじさんたちを雇っているダイヤモンド堀業者、この場合は武装組織が直接掘らせてるんだろうから武装組織です。
そうやって武装組織はダイヤモンドを集めるわけですがそれは勿論観賞用じゃなくて武器を買うためです。戦争してますからね、バンバン戦争します。戦争の目的はよく分りませんがとりあえずの所は、ダイヤモンド欲しいからダイヤモンドを集めてるんじゃなくて戦争したいからダイヤモンドを集めています。ダイヤモンドを集めてるのはダイヤモンドが欲しい人がいるからで、それはこの場合ニコラスケイジ演じる武器商人です。
このように続けていくと最後は軍需産業までつながります。
しかしこう並べてみると最初にタロイモが欲しくてダイヤモンド掘ってたおじさんは結局は軍事産業のために働いていたのではないでしょうか。
そうじゃなくてタロイモのためですか？じゃあ武装組織は戦争のため武器商人はまたタロイモのために働いたとしましょう。しかしそしたらなぜさかのぼるほどに豊かになるのでしょうか。
ここまで書いて社会主義の宣伝みたいですが、しかし要するにこれがユダヤ人陰謀説の発生源なのではないかという気もします。世界の人は全員ユダヤ人に支配されてるっていう。(同じ理論でナチも社会主義も弁護できますね）
ダイヤモンド堀のおじさんも武装組織も武器商人も軍需産業も原則お互い独立しています。同じ会社とかであれば同じ目的に対しての貢献度の大きさによって報酬が変わることはしごく自然なことですがこの場合は基本的にそれぞれの目的が違うため、彼らは労働と報酬をもって取引しているといえます。
それだからダイヤモンド堀から軍需産業を比べると軍需産業のほうが単純に豊かであるということには論理的に考えるとおかしな所があります。彼らが全て自分の労働に見合った報酬を受けているなら彼らのどちらかがより豊かであるということはありえません。
ということは労働と報酬の取引において不公平があり片方が片方に搾取されているということなのでしょうか。確かにこの場合ならありえそうです。しかしこの形というのは格差社会が言われるようになった日本にも容易に当てはめることが出来ます。
つまり資本主義とは労働者が資本家に搾取される野蛮な体制だったのである。
と、社会主義者は言いそうですね。いや社会主義者の知り合いはいないので分りませんが。しかしそんな簡単に断言してはいけません。
分りやすい違う例を持ってきましょう。
最近は中国に工場を置く企業が増えてすっかり中国製品が増えました。その理由は勿論中国で作ったほうが同じものでも安く作れるからです。日本人に払わなければならない報酬と中国人に払わなければならない報酬では中国人のほうが安いからです。これは不平等ではありません。中国と日本の物価が違うというだけのことです。中国の物価が上がってきたら企業は今度はベトナムに移るでしょう。
ダイヤモンド堀のおじさんがダイヤモンドの対価にお金をもらいます。しかしそれは日本でダイヤモンドの原石を売ってもらえる対価とは違います。武装組織がニコラスケイジから武器を買います。しかしその値段は日本で武器を買うときとは違います。
全ての取引が公平であったとしても軍需産業が栄えるであろうことを断言することにやぶさかでありません。
ダイヤモンド堀にとってダイヤモンドは報酬によって買えるタロイモと同じ価値を持ち、武装組織にとっては武器と同じ価値を持っている訳ですからその取引は公平なものです。いやもっと言えばダイヤモンド堀にとってはダイヤモンドよりも報酬の方が価値があり武装組織にとってはダイヤモンドの方が価値があります。そして武装組織にとってはダイヤモンドより武器の方が価値が高く武器商人にとっては武器よりダイヤモンドの方が価値が高いのです。
これは搾取などではありません。
ダイヤモンド堀〜軍事産業に移るにつれて価値観がだんだん変化していくというだけのことです。不平等に見えるのは自分の価値観だけで物を見ているからでしょう。
