大作映画の冬期

映画、
男たちの大和を見ました。
悲しいけどたいしたこと無かったです。この感触は最近感じたことがあるとも思いました。私はそんなに映画を見に行く方ではないので、前に見た映画は
ロードオブウォーですがこのときの感触ととても似ていました。
ロードオブウォーはニコラスケイジ主演の、武器商人の実態を実際の武器商人をモデルにした半実話で描いた作品であり、アメリカでは内容が反政府的であるためか企業から投資してもらえず海外の資本で作ったらしい。期待は大きかった。そこまでして作った映画には気合が入ってるだろうなとも思ったし、その話だけでちょっと敬服してしまっていた感もあった。しかし見てみて、なんだかなぁとため息がでてしまったのはなんでだろう。
キャストの演技も映像も音楽も私としては申し分ない。何よりテーマがしっかりしていて脚本もなかなか良いものだと思う。小説として読んだら面白いだろう。
大和もそうだった(主人公の少年兵はちょっと大根な気がしたけれど)。
或いはドキュメンタリーにしたら面白いだろう。
映画として物足りないのはなんでだろうか不思議だったのだけど、久し振りにアラビアのロレンスをみて目から鱗が落ちた気分になった。簡単な話、ロードオブウォーも男たちの大和もただ時間が足りなかったのだ。アラビアのロレンスのただずっとらくだに乗って砂漠を進むシーン。ああいうシーンが無いために映画がその本物であるらしい部分を失ってしまってただの物語、それも事実を時系列に並べただけのような物に成り下がってしまう。
もともとこれだけの話を二時間に無理やり詰め込んでしまったのは制作側の意図ではないだろう。配給会社の利益の追求のための要求があると聞いたことがある。
予言すると、これは大作映画にとっては致命的な弱点だからこの調子で行くと映画業界はすぐに行き詰るだろう。これからますますいい作品はSABU監督とかビンセントガロとかタランティーノ系だけになるだろうけどやはりそれは見る人を選んでしまうわけなので、大抵の人は昔の映画の方が良かったなと思ってホームシアターを買って映画は家で見るものになるんじゃないかな。
しかも短期的な利益追求の根本には株の売り買いで利益を得ようとする投資家の増えた現在の市場があるわけで、配給会社が改心すれば全て良くなるという簡単な話でもないのだろう。

とにかく大作映画にはとても厳しい時代ではあるようだ。